# 5.5 beedbライブラリを使用してORM開発を行う beedbは私が開発したGoによるORM操作のためのライブラリです。これはGo styleの方法でデータベースに対し操作を行います。structからテーブルの記録へのマッピングを実現します。beedbは十分軽量なGo ORMフレームワークです。このライブラリを開発した動機は複雑なORM学習曲線を引き下げたいと思ったからです。出来る限りORMの実行効率と機能の間でバランスをとったつもりです。beedbは現在オープンソースのGo ORMフレームワークの中で比較的完全なライブラリのひとつです。また、実行効率も相当良く、機能も基本的に需要を満足させています。しかし現在はまだアソシエーション関係をサポートしておらず、これは次のバージョンの主なポイントです。 beedbはdatabase/sql標準インターフェースをサポートしたORMライブラリです。そのため、理論上では、データベースドライバがdatabase/sqlインターフェースをサポートしていさえすればすんなりbeedbを使うことができます。現在までに私がテストしたドライバパッケージは以下のとおり: Mysql:github.com/ziutek/mymysql/godrv[*] Mysql:code.google.com/p/go-mysql-driver[*] PostgreSQL:github.com/bmizerany/pq[*] SQLite:github.com/mattn/go-sqlite3[*] MS ADODB: github.com/mattn/go-adodb[*] ODBC: bitbucket.org/miquella/mgodbc[*] ## インストール beedbはgo get方式によるインストールをサポートしています。これはGo Styleの方式に完全に則って実装されています。 go get github.com/astaxie/beedb ## 初期化の方法 まず対応するデータベースドライバパッケージをimportする必要があります。database/sql標準インターフェースパッケージおよびbeedbパッケージです: import ( "database/sql" "github.com/astaxie/beedb" _ "github.com/ziutek/mymysql/godrv" ) 必要なパッケージをインポートした後、データベースへの接続を開く必要があります。その後beedbオブジェクト(たとえばMySQLとします)を作成します db, err := sql.Open("mymysql", "test/xiemengjun/123456") if err != nil { panic(err) } orm := beedb.New(db) beedbのNew関数は2つの引数を必要とします。一つ目の引数は標準インターフェースのdbで、二つ目の引数は利用するデータベースエンジンです。もしあなたが使用するデータベースエンジンがMySQL/Sqliteだった場合、二つ目の引数は省略してもかまいません。 もしSQLServerをお使いであれば、このように初期化する必要があります: orm = beedb.New(db, "mssql") もしPostgreSQLをお使いであれば、初期化は以下のようになります: orm = beedb.New(db, "pg") 現在beedbはプリントデバッグをサポートしていますので、下のコードでデバッグを行うことができます。 beedb.OnDebug=true 以降の例では前のデータベースのテーブルUserinfoを採用します。まず目的のstructを作成します。 type Userinfo struct { Uid int `PK` //もしテーブルのプライマリキーがidでなければ、pkコメントを追加する必要があります。このフィールドがプライマリキーであることを明示します。 Username string Departname string Created time.Time } >ご注意ください。beedbはキャメルケースの命名規則を自動でスネークケースのフィールドに変換します。たとえば`UserInfo`という名前のStructを定義した場合、低レイヤで実装される際に`user_info`と変換されます。フィールドの命名もこのルールに従います。 ## データの挿入 下のコードはどのように記録を挿入するか示しています。我々が操作しているのはstructオブジェクトで、元々のsql文ではありません。Saveインターフェースをコールしてデータをデータベースに保存します。 var saveone Userinfo saveone.Username = "Test Add User" saveone.Departname = "Test Add Departname" saveone.Created = time.Now() orm.Save(&saveone) 挿入後、挿入に成功した際のインクリメンタルなIDが`saveone.Uid`です。Saveインターフェースは自動的に保存します。 beedbインターフェースはもう一種類の挿入の方法を提供しています。mapデータ挿入です。 add := make(map[string]interface{}) add["username"] = "astaxie" add["departname"] = "cloud develop" add["created"] = "2012-12-02" orm.SetTable("userinfo").Insert(add) 複数のデータを挿入 addslice := make([]map[string]interface{}, 0) add:=make(map[string]interface{}) add2:=make(map[string]interface{}) add["username"] = "astaxie" add["departname"] = "cloud develop" add["created"] = "2012-12-02" add2["username"] = "astaxie2" add2["departname"] = "cloud develop2" add2["created"] = "2012-12-02" addslice =append(addslice, add, add2) orm.SetTable("userinfo").InsertBatch(addslice) 上の操作方法はメソッドチェーンによる検索にすこし似ています。jqueryに詳しい方はとても馴染みがあるのではないでしょうか。毎回コールされるmethodはすべてもともとのormオブジェクトを返しているので、継続してオブジェクトの他のmethodをコールすることができます。 上でコールしたSetTable関数はORMに対して、これから実行するこのmapに対応したデータベーステーブルが`userinfo`であると明示しています。 ## データの更新 つづけて上の例で更新操作をご覧にいれましょう。現在saveoneのプライマリキーはすでに値が存在します。この時saveインターフェースをコールして、beedb内は自動的にupdateをコールすることによってデータの更新を行います。挿入操作ではありません。 saveone.Username = "Update Username" saveone.Departname = "Update Departname" saveone.Created = time.Now() orm.Save(&saveone) //現在saveoneにはプライマリキーがあります。更新操作を行います。 データの更新はmap操作の直接の使用をサポートしています。 t := make(map[string]interface{}) t["username"] = "astaxie" orm.SetTable("userinfo").SetPK("uid").Where(2).Update(t) ここではいくつかのbeedbの関数をコールしてみます。 SetPK:ORMに対して、データベースのテーブル`userinfo`のプライマリキーが`uid`であることを明示します。 Where:条件を設定するために用いられます。複数の引数をサポートし、第一引数がもし整数であった場合、Where("プライマリキー=?",値)がコールされたものとなります。 Update関数はmap型のデータを受け取り、データの更新を実行します。 ## データの検索 beedbの検索インターフェースは使いやすく、具体的な使用方法は下の例をご覧ください。 例1、プライマリキーによってデータを取得: var user Userinfo //Whereは2つの引数を受け取ります。int型の引数をサポートします。 orm.Where("uid=?", 27).Find(&user) 例2: var user2 Userinfo orm.Where(3).Find(&user2) // これは上の省略版です。プライマリキーは省略できます。 例3、プライマリキーではない条件: var user3 Userinfo //Whereは2つの引数を受け取ります。文字列型の引数をサポートします。 orm.Where("name = ?", "john").Find(&user3) 例4、もっと複雑な条件: var user4 Userinfo //Whereは3つの引数をサポートします。 orm.Where("name = ? and age < ?", "john", 88).Find(&user4) 下のインターフェースを通して複数のデータを取得できます。例をご覧ください。 例1、条件id>3にもとづいて、20からはじまる10件のデータを取得します。 var allusers []Userinfo err := orm.Where("id > ?", "3").Limit(10,20).FindAll(&allusers) 例2、limitの第二引数は省略できます。デフォルトは0から開始となります。10件のデータを取得します。 var tenusers []Userinfo err := orm.Where("id > ?", "3").Limit(10).FindAll(&tenusers) 例3、すべてのデータを取得します。 var everyone []Userinfo err := orm.OrderBy("uid desc,username asc").FindAll(&everyone) 上ではLimit関数があります。これは検索結果の数をコントロールするのに用いられます。 Limit:2つの引数をサポートします。第一引数は検索数を表し、第二引数は取得するデータの開始位置を表しています。デフォルトは0です。 OrderBy:この関数は検索をソートするために用いられます。引数はソートの条件である必要があります。 上の例では取得するデータが直接structオブジェクトにマッピングされます。もし、データをmapとして取得したいだけであれば、下の方法で実現することができます: a, _ := orm.SetTable("userinfo").SetPK("uid").Where(2).Select("uid,username").FindMap() 上とこの例の中ではまた新しいインターフェースの関数Selectがでてきました。この関数はいくつのフィールドを検索したいのか定義するために用いられます。デフォルトでは全てのフィールドとなる`*`となります。 FindMap()関数は`[]map[string][]byte`型を返します。そのため、自分自身で型変換を行う必要があります。 ## データの削除 beedbは豊富なデータ削除インターフェースを備えています。下の例をご覧ください。 例1、単一のデータを削除 //saveoneは上の例で示したあのsaveoneです。 orm.Delete(&saveone) 例2、複数のデータを削除 //alluserは上で定義した複数のデータのsliceです。 orm.DeleteAll(&alluser) 例3、sqlにしたがってデータを削除 orm.SetTable("userinfo").Where("uid>?", 3).DeleteRow() ## リレーション検索 現在beedbはstructのリレーションをサポートしていません。しかしいくつかのアプリケーションはリレーションによる検索を必要としています。そのため、現在beedbは簡単なソリューションを提供しています。 a, _ := orm.SetTable("userinfo").Join("LEFT", "userdeatail", "userinfo.uid=userdeatail.uid").Where("userinfo.uid=?", 1).Select("userinfo.uid,userinfo.username,userdeatail.profile").FindMap() 上のコードでは新しいインターフェースのJoin関数が出て来ました。この関数には3つの引数があります。 - 第一引数には:INNER, LEFT, OURTER, CROSS等が入れられます - 第二匹数は接続するテーブルを表します - 第三引数は接続の条件を表します ## Group ByとHaving いくつかのアプリケーションがgroup byとhavingの機能を必要としているため、beedbも簡単な実現方法を提供しています。 a, _ := orm.SetTable("userinfo").GroupBy("username").Having("username='astaxie'").FindMap() 上のコードで現れる2つの新しいインターフェースの関数 GroupBy:groupbyのフィールドを実行するために用いられます Having:havingを実行する際の条件を指定するために用いられます ## 一歩進んで 現在beedbはすでに多くの国内外からのユーザによってフィードバックを得ています。現在作り直しを考えています。以降ではいくつかの方面で改良が行われる予定です。 - interface設計の実装。database/sql/driverの設計に似て、beedbのインターフェースを設計します。その後対応するデータベースのCRUD操作を実現します。 - リレーショナルデータベースの設計の実現。一対一、一対多、多対多のサポートを実現します。コードは以下のとおり: type Profile struct{ Nickname string Mobile string } type Userinfo struct { Uid int `PK` Username string Departname string Created time.Time Profile `HasOne` } - 自動的にデータベース、テーブル、インデックスを作成 - 接続プールの実現、goroutineを採用。 ## links * [目次]() * 前へ: [PostgreSQLデータベースの使用](<05.4.md>) * 次へ: [NOSQLデータベースの操作](<05.6.md>)