# 9.6 データを暗号化/復号する 前の節では安全なパスワードの保存の仕方を説明してきました。しかしあるときには、既にデータベースに保存されている、プライバシーに関わる暗号化されたデータを修正する必要があるかもしれません。データを復号することが必要な時は、既に述べた1方向ハッシュ関数の代わりに、対称鍵暗号アルゴリズムを使うべきです。 ## 高度な暗号化/復号 Go言語の`crypto`では対称鍵暗号アルゴリズムをサポートしています。二種類の高度暗号化モジュールがあります。 - `crypto/aes`パッケージ:AES(Advanced Encryption Standard)は、Rijndael暗号化アルゴリズムとも呼ばれます。アメリカの連邦政府が採用しているブロック暗号の標準です。 - `crypto/des`パッケージ:DES(Data Encryption Standard)は対称鍵暗号の標準です。これは現在最も広く使用されている鍵システムです。特に金融データのセキュリティの保護で使われています。かつてアメリカ連邦政府の暗号化のスタンダードでしたがすでにAESにとってかわられています。 これら2つのアルゴリズムは使用方法が似ていますので、以下ではaesパッケージを使ってどのようにこれらのパッケージを使うのかを説明していきたいと思います。 package main import ( "crypto/aes" "crypto/cipher" "fmt" "os" ) var commonIV = []byte{0x00, 0x01, 0x02, 0x03, 0x04, 0x05, 0x06, 0x07, 0x08, 0x09, 0x0a, 0x0b, 0x0c, 0x0d, 0x0e, 0x0f} func main() { // 暗号化したい文字列 plaintext := []byte("My name is Astaxie") // 暗号化された文字列を渡すと、plaintextは渡された文字列になります。 if len(os.Args) > 1 { plaintext = []byte(os.Args[1]) } // aesの暗号化文字列 key_text := "astaxie12798akljzmknm.ahkjkljl;k" if len(os.Args) > 2 { key_text = os.Args[2] } fmt.Println(len(key_text)) // 暗号化アルゴリズムaesを作成 c, err := aes.NewCipher([]byte(key_text)) if err != nil { fmt.Printf("Error: NewCipher(%d bytes) = %s", len(key_text), err) os.Exit(-1) } // 暗号化文字列 cfb := cipher.NewCFBEncrypter(c, commonIV) ciphertext := make([]byte, len(plaintext)) cfb.XORKeyStream(ciphertext, plaintext) fmt.Printf("%s=>%x\n", plaintext, ciphertext) // 復号文字列 cfbdec := cipher.NewCFBDecrypter(c, commonIV) plaintextCopy := make([]byte, len(plaintext)) cfbdec.XORKeyStream(plaintextCopy, ciphertext) fmt.Printf("%x=>%s\n", ciphertext, plaintextCopy) } 上では`aes.NewCipher`(引数keyはかならず16、24または32桁の[]byteとなります。それぞれAES-128, AES-192とAES-256アルゴリズムに対応します。)関数をコールすると`cipher.Block`インターフェースを返します。このインターフェースは3つの機能を実現します: type Block interface { // BlockSize returns the cipher's block size. BlockSize() int // Encrypt encrypts the first block in src into dst. // Dst and src may point at the same memory. Encrypt(dst, src []byte) // Decrypt decrypts the first block in src into dst. // Dst and src may point at the same memory. Decrypt(dst, src []byte) } この3つの関数は暗号化/復号操作を実装します。詳細な操作はGoのドキュメントをご覧ください。 ## まとめ この節ではいくつかの暗号化アルゴリズムを紹介しました。これらのアルゴリズムは、Webアプリケーションにおける暗号化/復号の必要に応じて異なる方法で使用することができます。基本的な安全性のみを必要とするアプリケーションではAESアルゴリズムを使うことが勧められます。 ## links * [目次]() * 前へ: [パスワードの保存](<09.5.md>) * 次へ: [まとめ](<09.7.md>)